山岸涼子さんの「日出処の天子」
1日にちょろっと綴った通り、その後も「日出処の天子」を読み続け、3日に読了しました。
感想を一言で言うと、んもぅ、山岸さんの才能に感服しました・・・それしか、言葉が出ないほどです。
絵もなかなか素晴らしいけれど、ストーリーがね、ハチャメチャだけど本当に素晴らしい。
一般的に考えられている聖徳太子からかけ離れた人物が主人公だけど、これぞマンガの特権ね。
1400年ほど昔の話でも、どの人物も個性豊かに描いていること、各人物に様々なやり取りをさせ、本音の部分や感情をわかりやすく描き上げ、今を生きる私達と変わらないと感じられて、本当に良かったです。
読み手である私も、その時代に一緒に生きているのを錯覚するくらい、リアルな現実感のあるマンガでした。
リアルと言っても、太子自身はまるで超能力者(修験者や呪術者のよう?)だし。
妖怪や様々な物の怪が描かれ、ボーイズラブ、思いがけない近親者の契りなども出てきますが。
どろっどろな人間関係も含めて、そこは割とサラッと読めてしまうのが少し不思議でした。
この時代、天皇家とそれに群がる豪族は近親婚が多く、これは今の私達には理解が難しいのだけど。
当時の結婚事情が、わかりやすく描かれているのも良かったです。学校で習う「通い婚」って、本当に簡単にしか教わらないのでね。
契るシーンは、ほんの少し描かれてあるだけ。読んで赤面することはないです。
ページをめくると、まさかの展開が次から次へと始まり、普段の日常を全く忘れて読むことができ、清々しかったです。
*****
それぞれの巻末に、山岸さんと作家さんとの対談や評論が載っていて。
それによると、山岸さんは膨大な資料を集め、準備万端で描いたのではなく、梅原猛さんの本を一冊読んだくらいで描き始めたそう。
何か知りたいことがあると、その都度本屋さんに行き、うまい具合に疑問に答える本を見つけて描いたのだとか。
私ね。山岸さんは、太子に通じるものを持っていたと思う。
もしかすると、太子がひそかに現代の若者が飛びつくようなストーリーを仕立て、それとなく山岸さんにわかるヒントを与えて、導いていたのかも・・・ と、妄想したくなるほどでした。
ただ、ラストは切なかったです。こんな終わり方なのねと、小さくない衝撃でした。
歴史ものなので、初めは登場人物の名前(古代風)に慣れず、1巻を読むのにすごく時間が掛かったけれど。
1巻を読んで面白かったら、全巻読まれると良いかもです。
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